[本]子供たちに教育を!
「マイクロソフトでは出会えなかった天職とは?」 ジョン・ウッド
とても!清清しい本でした。マイクロソフトを辞めてアジアの国々に図書館と学校を作る「Room To Read」というNPOを立ち上げた方のお話。
下のペーパーバック版の表紙の方がしっくりきます。ネパールの学校にヤクで本を運ぶ、笑顔の作者。この写真にこの人のすべてが描かれているような気がします。
あらすじ
旅行中に訪れたネパールの学校で本のない図書館と学びたくても学ぶ環境がない子供たちにショックを受け、友達やその友達にメールを送り、協力をこぎつけ、実際に数千冊の本を送り届ける。そこで見て感じた事をきっかけに作者の事業が始まります。
もともと企業人だった作者はそのやり方をうまく取り入れ、大きな成果をあげていきます。
現在の成果はこのとおり。
2000年の設立以来、ルーム・トゥ・リードは以下の活動成果を通じて170万人の子どもたちの力になってきました。
- 学校442校の開設
- 図書館5,167カ所の開設
- 現地語の児童書を226タイトル、計209万9,000冊発行
- 計224万976冊の英語の児童書を寄贈
- 108のコンピューター室を開設
- 47の語学学習室を開設
- 4,036件に女子奨学金を支給
最初のエピソードから、人がつながり、組織が立ち上がり、事業が拡大していく様がとてもスピード感があり、読んでいて引き込まれます。
こういった活動に従事する人は、自己犠牲の精神にあふれた、聖人のような人なのだろうと以前は思ってました。が、実はかけ離れたヒーロー的な存在でもなければ、自分を犠牲にしたり無理をして活動しているというわけでもなく、こういった活動での喜びや楽しさ、充実感といった見返りが十分にあることを知っている(知ってしまった)人たちなのだなあとこの本を読んで改めて思いました。
この本の魅力
彼の活動についてたくさんの暖かくてステキなエピソードが書かれていますが、この本の魅力はそれに止まらず、ビジネスマンにとっても金科玉条と言える言葉が満ち溢れています。
作者はマイクロソフトの重役からこの活動へ転身していますが、彼の活動方針もとてもビジネスマンらしいです。
活動方針のいくつか
- この活動をはじめた最初の日から営業マンであろうと意識していた。
NPOの世界の大半の人がお金の話をするのを嫌う。が、寄付をしてくれそうな人に「売り込む」ことはもっとも重要なスキル。「ノー」と言われても何度でも可能性を追い求める精神が必要。
- 寄付を募る際、教育に投資すれば世界を変える手助けをしているというすばらしい気持ちを味わえることを共有する。
- また、お金のある寄付者は教育が自分の人生に役立ったという経験をしている可能性が多い。 その恩返しに今度は途上国の数百の子供に同じ贈り物ができることを強調する。
- やろうと思ってることを話すのでなく、やってきたことを話す。
活動の成果や出費の内訳を詳細な数字で報告する。寄付のもたらす効果が見えるようにする。どの学校が建てられ、現地の写真を送り、寄付者がその学校を訪ねることもできるようにする。
- 人件費など運用コストを抑え、実際の活動に最大限投資をする。
- 地域社会も資金や労働力を提供し、住民が主役となってプロジェクトを定着させる。
援助計画を成功させる方法は地元の住民にも労働力と少額の資金を提供してもらうこと。そうでなければ援助は無償の贈り物に過ぎず、当人たちに失うものがないから、プロジェクトの価値を誰も認めようとしない。
- 地元の優秀なスタッフをあつめ、地元の文化に合わせたプロジェクトを育てる
- 一人の寄付者/財団に頼るのでなく、たくさんの協力者を募る。
- 泣き落としは避ける。
いかに現地の人々が「かわいそう」かを語ってビジネスにするのは冒涜だ。罪悪感をマーケティングに利用してはならない。
- すべては前向きな職場環境から始まる。
- すべての成果はチームの成果であると強調することも大切だ。
- 女性向けの奨学金制度を行う
女性の非識字率の低さは悲惨な形で次世代に受け継がれる。家出子供に本を読み聞かせるのは、もっぱら女性だからだ。母親が教育を受けていれば次の世代に受け継がれる確立がとても高い。
これらはどれもMBA的な方針です。
その他にも、マイクロソフトの企業文化や寄付者(=ビジネス成功者)たちの考え方など、はっとする話がたくさん出てきました。
ビジネスライクな慈善活動というとハートの部分をないがしろにしているようで聞こえはあまりよくありませんが、「結果を出す」ビジネスパワーはこれらの活動にも必要不可欠なものだと思います。









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